Written by TOMO
Based on "Matrix" trilogy
こうして、すべてが終わった。スミスはネオによって封印され、平和を乱す者はいなくなった。だが、それは解決ではなく、単なる混乱の収束でしか無かったのだが。
とはいえ、いまやすべての人間が、ワイヤに繋がれることなくマトリックスへ―マシン世界へと赴くことができる。それは同時に、人間発電所に繋がれた人間のワイヤからの解放を意味していた。ワイヤなんかなくても、そのエネルギーを十分マトリックスに、そしてマシンに供給することができるのだ。人間が存在するだけでマシンは生きていける。そして、人間が幸福になればなるほど、マシンに供給されるエネルギーも増加していく。
こうなれば、人間とマシンが対立する必要はまるでない。多少の後始末は必要だったものの、軋轢はすぐにおさまった。むろん、一気に全ての人間を解放することはできない。可能だとしても、それほどの世界観の変化について行ける者ばかりではないのだ。しかし、それは時間とともに解決するもの。しばらくは情報統制のような形になるだろうが、その事実さえカムフラージュされ、ある意味ではルネッサンスや産業革命に匹敵するような、新しい発見と興奮の連続する時代として認識されるだけだろう。無知や恐怖ではなく真実と希望に裏打ちされたあたらしい時代。もちろん、それはマトリックスだけではない。ザイオンやノーチラスにとっても、雌伏の時代は終わったのだ。外へ、世界へ!そんな新しいパラダイムのもと、ネオは活動を開始する。
彼はゆっくりと忍び寄る自然の脅威に立ち向かうべく、あらゆる有能な人間とマシンを組織して対策プロジェクトを立ち上げた。自然の力を肌で知る人間たちの見事な発想。。新たなる目標を得て驚くべき能力を発揮するエグザイルたち(いまでは『エグザイル』という言葉も<飛び抜けた者>という良い意味でしか使われない)。そんな仲間に囲まれ、忙しい毎日のなかにも、トリニティとともに平穏な暮らしを楽しむネオであった。
しかし、日が経つにつれ、ネオの中にはまだ違和感のようなものが育ちつつあった。たしかに表面上は問題がない。しかし、それにしてはなにかが…物足りないのだ。彼自身、なにが足りないのか、なにがおかしいのかはさっぱり分からず、無我夢中で仕事に取り組んではいるのだが、思うように進んで行かないような感覚が残るのだ。まだ、未解決の問題が潜んでいる…。そして、それは、思いもよらない形で浮かび上がってきた。
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2004.10.15 編集