Matrix Restart

Written by TOMO
Based on "Matrix" trilogy



An Story of the days after the Matrix trilogy
これは、マトリックス三部作の後に続く物語である。



序章


[A.N.2(ネオ後2年)]

― マトリックス ―

元通りのマトリックスに戻っている。真実を知ったものがザイオンに行くことは認められるが、マシン側が真実をわざわざ広く教えることはなく、これまで通り裏ルートによる覚醒に限られる。従って、エージェントの任務が覚醒した者の発見と追放、さらにザイオンから入って来るものの排除であることにも変わりがない。

― ザイオン ―

とりあえずマシンが攻めて来なくなったので、みんなほっとしている。あえてそれ以上の反撃には出ない(出られない)。戦後のベビーブームに浮かれてる(笑)。ネオがどうなったのかは大衆には依然不明のままで、どこかで生きている、あるいは、危機にはまた復活するという救世主伝説として残る。ただし、一部の懐疑派はネオの役割はおろか休戦自体を信用せず、依然戦争状態を保つ。


[A.N.30(ネオ後30年)]

― マトリックス ―

ザイオンの存在はカルト宗教的な「噂」程度の認識で広まっている。覚醒してザイオンに行くものはそう多くないが、革命細胞のような形の地下組織が形作られつつある。全体としては安定した社会になっている。マシン側はザイオンそのものに対しては不干渉の立場(攻撃も援助もしない)。ただし、マシンの設備に対する侵犯やマトリックス内での活動については容赦なく弾圧している。

― ザイオン ―

人口が倍増し、スペースや食料の問題が表面化してくる。まだマシン軍団の記憶のある世代が多いので、反攻という意識はないが、隙を縫って地表へ出ることは日常化している。一部の者はザイオン以外の場所にコロニーを作るべく探検にでており、そのいくつかは可能性のありそうな場所を発見している。とくに戦後生まれの若い世代が強引果敢に探検を繰り返していて、マシンとの遭遇戦も発生している。

そんな中で、マシンに占拠され温存された核基地、放棄されたマシンや人間居住地、ある程度自然の残った海洋、氷河の前進、などが発見される。

ネオの存在は伝説から完全な宗教となって純粋な崇拝の対象となっている。とくに狂信的なものは、ネオを再び迎えれば、こんどこそマシン世界に攻撃をかけて勝利することができると信じている。それは探検隊の動機の一つでもあるし、マトリックスに対して侵入する動機のひとつでもある(覚醒者のリクルートがメインだが。)ちなみに、マトリックスにジャックイン可能な者の数はそれほど多くはないが、その影響力は評議会のなかでも大きく、ザイオンの主導権を握る。


[A.N.60(ネオ後60年)]

― マトリックス ―

機械の活動は依然活発化の一途。人間発電所はしだいに増強されてきている。マトリックスに接続する人間が増えるに従って、例外となるものの数が増え、それを抑えるためのエージェント活動が目に付くようになった。その結果、人々の間に抑圧感がひろがっており、ザイオンによる活発な地下活動によってさらに不安定感が高まって来る。

そうした状況の変化に対応するためにプログラムも手直しを余儀なくされ、そのテストや移行によるシステムの混乱がおき、エグザイルもこれまでになく増えている。そうしたエグザイルにも、新しいプログラムに引き継いで廃棄されるはずのものが逃れて密かに生き残ったプログラムだけでなく、業務を引き継いでいない幼いプログラムや新たに作られたものの実際には使われなかったプログラムなど、各種が入り乱れている状況。そうしたプログラム同士の勢力争いのような状況も、混乱に拍車をかけている。

― ザイオン ―

戦争に参加した世代はすでに80歳台を超えて数も少なく、マシンに対する恐怖感はかなり薄れてきている。人口はさらに増加し、マトリックスから覚醒してくるものの数が増加していることもあり、ザイオンの過密は限界に達している。この頃には、ザイオン以外の場所にも人類のコロニーがいくつか存在している。特に海洋に近いところにある「ノーチラス」を代表とするコロニーは、水産資源を利用することで自給も可能になってきている。当然、そうしたコロニーの勢力は強まり、機械に抵抗しようという機運が高まってマトリックス覚醒組の牛耳るザイオン(そこは地下のマシンによって維持されている訳だし、当然機械共存派も多い)との対立が先鋭化してくる。ただ、依然としてマシン世界との関係を変えるには決め手となるものがなく、あくまでも人間社会のなかでの混乱でしかない。

その混乱を制するために、どちらの人間陣営も必死で「ネオ」を探し求める。いまや宗教となったネオについての何らかの情報を握れば、人間社会を制するだけでなく、マシン世界への反攻が可能になる(と信じている)からだ。しかし、現実世界での60年におよぶ地表の探検では何も見つからなかったので、いまや両陣営ともマトリックス内での探求に本腰を入れはじめる。マトリックスの中で、人間の二つのグループがエージェントやエグザイルと生死を賭けた駆け引きを演じながら、「ネオ」とは何だったのかを探る戦いが始まろうとしている。


いつもと違う日


マトリックスの人間たちは、いつもの日常をいつものように過ごしている。このところ不況で景気の悪い話が多く、治安も悪くなっているようだ。暴力団みたいな奴らとか、ストリートギャングのような連中、なにか変な宗教集団のような手合いも増えているらしい。しかし、大半の人たちは背中を丸め、とりあえずの仕事をなんとか確保しようと道を急いで行く。

多くを語らないオラクルとそれを守り続けるセラフはひっそりとクッキーを焼く毎日だ。すべてのデータを握り、さらなるデータ収集に飽くことなき欲望をいだくメロビジアンは相変わらずクラブで悪さをしている。

そして静かにしかし断固として行動するエージェントたち。彼等はいま二つのグループに目を付けている。そのひとつは、自らの存在意義を求める若いエグザイルたちのグループだった。エグザイルであるが故に自らの居場所もなく「すること」もなく、エージェントに追われるプログラムたち。もう一つは、人間の侵入者グループだ。かれらは、しつこくある情報を追っていた。それは、マトリックスではタブーとして、語られることすらないはずの人物についての情報だ。そして、そのどちらのグループも、エージェントにマークされているにもかかわらず、なかなか捕まらなかった。その事自体が十分に危険な存在であることを示していた。


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2004.10.15 編集